エスポワールには、様々な食器やカトラリーがあります。これらは、少しずつ集めたもので、実際のお食事でも使用していますが、中には思い入れのあるものも数多くなります。その中の1つをご紹介します。出会いは、フランスでした。エスポワールでは数年に1度、フランス料理の本場へ研修に行きます。研修といっても主に食べ歩きです。(笑)
まず訪れた地域は、ドイツとの国境ヴォージ山脈の麓、アルザスです。ここは、言わずと知れたワイン産地であるとともに、フォアグラ料理やベッケオフのような郷土料理が有名です。そこからTGVで移動し、世界遺産で知られる「モンサンミッシェル」へ向かいました。(ここは観光です)
歴史に触れたり、伝統的なオムレツ(日本にも支店ができたとの話です)や魚介を食べ、その日はモンサンミッシェル内のオーベルジュに宿泊しました。翌朝はしっかり朝食を食べ、大きな荷物を持ち「さあ、出発だ!」とバス乗り場のある城外へ出るための門へ向かうと、物々しい雰囲気で人々が叫んでいます。そこには旅行者らしき人達が集まっていたのですが、そこにいた日本の方からストライキだと聞かされ状況が把握できました。モンサンミッシェル内の労働者が、モンサンミッシェル唯一の門を封鎖し、賃金を上げるよう要求していたのです。そして、私達の乗るバスの時刻になったのですが、まだ扉は開かずにいました。困っていたその時「日本人は出ろ」 と声がし、私達だけ門を潜ることができました。慌ててバス乗り場に行くと非情にもバスは発車してしまい、その後ろ姿を追い掛けましたがそのまま行ってしまいました。次のバスまでは半日も待つということで歩いて、最寄りの町のバス停に向かいました。写真に出てくるモンサンミッシェルへ続く道路を大きなトランクを引きずり、こんなこともあるんだなと思いながら皆で歩きました。その後、乗り継ぎのタイミングが悪く、電車の待ち時間がながかったので折角だからと小さな町を散策することにしました。シャルキュトリーと言われるお肉屋さんを覗いたり、スーパーに行ったり。そんな中、1件の雰囲気の良いキッチン用品店に入りました。日本では見る事の出来ないデザイン皿やキッチン用品が飾られていました。その中で、一目で気に入ったコーヒーカップがありました。
色は優しいベージュで、ゴールドの縁のシンプルなカップです。窯元は、イギリスのロイヤルアルベールのもので、ボーンチャイナで焼かれたものです。即購入し、大事に大事に日本へ持って帰ってきました。古いものではありませんが、形も特徴的で、エスポワールで使う他のカップとも違い、特別な存在感があります。このカップを使ってコーヒーをお出しする時には、モンサンミッシェルでの思い出が蘇り、私にとっても懐かしさを感じるとともに、ストライキという不運がもらたしてくれた素敵な出会いと感じ、とても愛着があります。 そういった思い出の調度品や器などもご紹介していきたいと思います。
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