1985ペリエジュエ ベルエポック
このシャンパンメゾンは、シャンパーニュ地方でも歴史は古く、1811年にエペルネ市に創設されました。中でもエミール・ガレがボトルデザインをしたプレステージワインの「ベルエポック」(美しき優雅な時代)は味わいはもちろんですが、見た目の華やかさでも有名です。ちなみに1825年産の世界最古のシャンパンを所有し、ギネスブックにも認定されています。その歴史的なワインの試飲会が近年開催されたことをご存知の方もいらっしゃるかと思います。カーヴにはあと2本残っているそうです。
1902年にアールヌーヴォーの巨匠、エミールガレと3代目の社長ガリス氏が友人であったことから誕生したものです。しかしベルエポックのファーストリリースは1964年です。それまでアネモネをモチーフにしたガレのボトルは世に出ることはなく、半世紀が過ぎ偶然見つかったところからガレのデザインボトルを復刻し、メゾンの看板ワインとなるベルエポックのリリースになったそうです。
そのシャンパンは王族や、世界中のセレブ達からも愛され、近年ではイギリス王室のウィリアム王子とケイト王妃のロイヤルウェディングでも記念ボトルが使用され、話題になりました。
今回の会で開栓予定の1985年は多くのヴィンテージシャンパンがリリースされた大変恵まれたヴィンテージです。シャルドネ約50%、ピノノワール約45%、ピノムニエ約5%からなり、もともと大変バランスに優れ、上品さが備わっているのが特徴です。
今回の1985年のボトルは現行ヴィンテージの2000年代のものと比べると、ガレがデザインしたアネモネがあたかも手書きで描かれたかのような凹凸があります。(もちろんガラス瓶に塗料を転写したものですが。) それ により贅沢感が感じられ、芸術家達の作品が世に数多く出回った古き良き時代の雰囲気を感じさせてくれます。もちろん味わいは開けてみてのお楽しみですが、フランスでも最北のぶどうの栽培地でできたワインは、厳しい気候に耐えたからこその複雑さと、土壌からのミネラルをたっぷり持っています。その熟成した味わいを体感した人は、熟成シャンパンの虜になってしまうくらいです。(何人もそうした方を見ています。)私自身も熟成したシャンパンにとても魅力を感じます。
ガレがデザインしたその当時を想像しながらじっくり味わってみたいですね。
1964 ボーヌ ブラン アーサー・バロレ
20世紀の初めに、アーサー・バロレによって立ち上げられたワイナリーです。
アーサーの息子アルバート・バロレは医師として仕事をしていましたが、父が営むワインビジネスに加わるようになりました。ワインに対する非凡な目利きと感性を持っており、数多くのワインを樽で買い付け、熟成、瓶詰め後顧客に売っていたそうです。当時から大変高い評価を得ていたそうですが、それを知るのはごく一部の個人顧客のみでした。
ワインが有名になったのは(一部のマニアの方の間かもしれませんが)アルバート・バロレが亡くなってからでした。1969年にアルバート・バロレが他界して、その膨大なワインのコレクションと素晴らしいワインセラーは2人の姉に相続されました。しかし2人とも高齢なためワインは全て、ブルゴーニュのネゴシアンのアンリ・ド・ヴィラモン社に売却されました。そのコレクションの中から特に素晴らしい味わいのボトルに『Collection du dr Barolet』と名付けられ、オークションに出品したところ、世界中のワインコレクターの目にとまり、あのロマネコンティーに匹敵する価格で落札されたという話です。
現存するドクターバロレコレクションは世界中でもごくわずかですが、同じ時代にアルバート・バロレが関わって作られたワインも世に出回っています。このワインも1969年にバロレがなくなる前のワインに間違いありません。
アーサーバロレラベルも含むバロレのワインは、信じられないほど長命で 実際の収穫年よりもはるかに若く感じる味わいです。この64年のブルゴーニュのブランも期待ができるワインです。特に熟成した古酒は驚きがあります。詳しいお話はワイン会で…。