2015.09.08

vol.26 古酒の会ワイン(その3)

’88 Montrachet Chateau de Herbeax

世の中で生産される白ワインの銘柄は星の数のようにあります。その中でも「白ワインの王」とたたえられるのはフランス、ブルゴーニュ地方のMontrachet grand cruにおいてほかはありません。生産者たちの間でも特別な扱いをされる存在です。

モンラッシェの畑の歴史は古く1152年にピュリニーモンラッシェ村、1286年にシャサーニュモンラッシェ村の畑が寄贈されたのが始まりといわれています。モンラッシェの畑は先に述べた2つの村にまたがっており、どちらの村の畑かで個性が変わると言われています。ピュリニー側は清涼感がある香りときめ細かな酸を持ち、シャサーニュ側は熟したフルーツ、スパイスの香りと厚いボディーを持つワインになると言われています。今回のモンラッシェはシャサーニュモンラッシェ村側です。こちら側で栽培された葡萄を使ったものは『ル・モンラッシェ』と呼ばれています。(ラベルに表記している作り手もいますが、徐々に少なくなっています)

今回のモンラッシェの作り手名はChateau de Herbeaxとあり、あまり聞かれない名前ですが、ブルゴーニュのムルソー村に本拠地を置くドメーヌ ジャック プリウールが一部の海外向けに作ったラベルのものです。中身はジャック プリウールのつくるル・モンラッシェです。ジャックプリウールのモンラッシェは94年ヴィンテージを試飲したことがありますが、色はモンラッシェとしてはやや明るめのイエローで香りは複雑で、カラメル、はちみつ、赤リンゴにミネラリーな印象もありました。とても上品でおとなし目の酸とそれに見合ったやや軽めのボディーが育ちの良さを感じさせるとても魅力的なワインでした。

ワイン会で開栓する88年のボトルは天候に恵まれたヴィンテージであり、ボトルの外観からは、熟成しグラデーションの見えるゴールド色で、大変楽しみなボトルです。モンラッシェは熟成して初めて、その完成された味わいと、堂々たる貫禄をみせてくれます。

文豪アレクサンドル・デュマが、『脱帽し、ひざまずいて飲むべし』というモンラッシェに捧げた賛辞のように、歴史と味わいが私たちを魅了してくれることでしょう。

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